矯正が必要になるほど歯の並びが変形していると、顔の形にも影響を与えます。もっともその影響を受けるのが下顎で、前に飛び出したり、しゃくれてしまうことがあります。歯の矯正で一番多いとされているのが下顎前突(かがくぜんとつ)と呼ばれる状態です。歯が前後に乱れて噛み合わせが悪くなってしまい、その違和感を無くすために下顎が前に飛び出てしまいます。下顎が歯並びの影響を受けて変形する典型的な事例と言えるでしょう。
この状態は本人が意識していなくても体が自然と反応するため、より歯並びを悪化させてしまうのです。すぐに飛び出るわけではありませんが、何年もの長い歳月をかけて下顎がしゃくれていきます。自覚していれば未然に防ぐこともできるのですが、気が付いた頃には矯正では手遅れな状態になっていることもあります。完全に変形してしまった場合、美容整形手術など別の手段で顎の形を戻すしか無くなってしまうからです。こうなると顎の骨を広げたり器具を取り付ける必要があります。
ただし、一般的な下顎前突は歯科矯正で治療することができます。十何年も経過していると戻すことは難しいですが、歯並びが悪くなり始めた段階なら矯正のみで治ります。歯にブラケットを固定し少しずつ歯並びを改善していく過程で、顎が違和感を感じて噛み合わせを戻そうとするためです。自然に元通りになるため、美容整形手術も不要になります。手術は多大な費用がかかるため、下顎前突を治療するための出費を抑えることも可能です。